市況

2024年3月下旬 国内外の蕎麦産地情報

 

 

国産玄蕎麦

 

 令和5年産北海道、東北、北関東等は生育期に例年にない暑さにみまわれ高温障害が発生しました。特に北海道は主産地の空知・上川地方が猛暑による受粉不良から、地域によっては大幅な収量減が報告されております。全国的には作柄の地域格差が大きく、台風等の災害に見舞われなかった北陸や九州は増産し、他は平年作を下回る収穫量と推測されます。

 

 令和5年産玄蕎麦は概ね成約されており、今後は受け渡しを中心に種子用に保管されている程度の流通販売になると推測されます。

 

中国産玄蕎麦

 

 2023年産対日向け蕎麦産地内蒙古東部赤峰地区では、5月、6月に干ばつに見舞われましたが、7月上旬の雨で蕎麦が播種され、作付面積増加から、収穫量は5~6万t程度と推測されております。

 内蒙古西部地区や山西地区では、トウモロコシ、菜種、ヒマワリ、粟の作付け面積が増加に伴い、蕎麦作付面積は減少、干ばつも影響し、収穫量1万~2万t程度と推測されております。

 西北部地区もトウモロコシ等の経済作物が順調に生育し蕎麦作付面積は大幅に減少、その後の干ばつから収量が減少、収穫量は5万t程度と推測しております。

 2023年産中国玄蕎麦の収穫見通しは、減産した昨年と同等11万~13万t程度と推測されますが、国内に安価なロシア産蕎麦が増加し価格は低下しております。春から中国国内消費増が予想される為、状況を注視しております。

 

ロシア産玄蕎麦

 

 2023年産ロシア産蕎麦の播種面積、収穫量についてロシア連邦統計局より24年1月中旬に暫定速報値が公表されました。現時点でロシア全体での播種面積暫定値は1,286,255 ha(22年産1,138,763 ha)前年比113%、収穫量1,484,864t(22年産1,222,321t)前年比121%、主産地アルタイ地方は現時点で暫定値720,302 ha(22年産662,206ha)前年比109%、収穫量840,109t(22年産収穫量741,768t)前年比113%となります。

 

 2023年産は気温が低かった事から播種作業は前年より2週間ほど遅く、6月上旬から始まりました。その後、アルタイ地方では高温と干ばつが続き、収穫作業は8月末から9月にかけて始まりました。9月中旬から降雨となり、収穫作業に遅れがでましたが、収量的には豊作になりました。

ウクライナ戦争から行き場の少ない玄蕎麦に対し中国からの引き合いが高まり、例年中国向け輸出量年間約30,000t~40,000tに対し、昨年は 124,000tと過去最高となりました。

 

 尚、収穫時期の降雨から水分値の高い蕎麦が出回わっており、気温低下と共に火力乾燥品が主力となりました。質の高い天日乾燥の原料は貴重になっております。

 

アメリカ産玄蕎麦

  

 2023年産アメリカ産玄蕎麦の産地ワシントン州は天候に恵まれました。7月上旬蕎麦の播種作業が開始され、昨年の様な播種遅れもなく、10月上旬から刈り倒し作業が始まりました。一部、収穫時期の雨から天日乾燥作業の遅れがありましたが、品質収量面からも豊作傾向になりました。

 

モンゴル産玄蕎麦

  

 2023年産モンゴル産玄蕎麦は、例年通り6月上旬に播種を開始、9月初旬から刈り倒しが始まりました。10月迄に収穫し、限られた数量が国内搬入される見通しであります。