市況

2024年6月上旬 国内外の蕎麦産地情報

 

 

国産玄蕎麦

 

 令和6年度北海道産玄蕎麦は、例年より早く雪解けが進み、本格的に種蒔きが始まりました。しかし、北海道では収量の不安定さから小麦や大豆等へ転換する農家が出る可能性もあり、懸念されております。

 

 近年、蕎麦の収量や播種面積は安定しておりましたが、国の制度変更から、蕎麦の作付面積動向について、より注視が必要となっております。

 農水省より2022年以降5年に一度も水張りを行われない水田は、2027年以降転作奨励金の交付対象から外れる事となりました。政府は春先や初秋等「1か月以上の水張りでも可」としておりますが、蕎麦は水に弱く、農地に水を入れると栽培が難しくなるといわれています。収益の不安定な蕎麦は交付金がないと採算が合いづらく、今後転作の動きが出る事が懸念されております。

 

中国産玄蕎麦

 

 2024年産中国産蕎麦の主産地内蒙古東部赤峰地区では、現在適度な降雨もあり、トウモロコシ、ヒマワリ、粟、きび等の作付け作業が始まっております。

内蒙古西部地区や西北部地区でも適度な降雨があり、トウモロコシ、ジャガイモ、漢方薬の原料となる生薬等の経済作物の播種が始まっております。

 6月上旬から7月上旬にかけて2024年産蕎麦の作付けが始まる見通しですが、農民は蕎麦よりも高収入となる経済作物を積極的に栽培したい意向もあり、今後の天候次第で蕎麦の作付面積に影響が出る為、注視しております。

 このまま順調に降雨があると蕎麦の作付面積は減少する反面、干ばつ状態が続くようであれば、他の作物よりも播種時期が遅く生育日数の短い蕎麦を蒔き直しする面積が増える可能性もあります。

 

ロシア産玄蕎麦

 

 2024年産ロシア蕎麦主産地のアルタイ地方は天候良好で、エンドウ豆、オート麦など早期作物の播種が始まっています。蕎麦は5月後半から6月中旬にかけて播種されます。

 昨年は記録的な栽培面積と収穫量でしたが、今年も播種面積は急激に減少しないと推測されます。ロシアでは蕎麦は収益性が高く栽培が容易とされ、他の作物よりも播種時期が遅いので、エンドウ豆のような早期作物が枯れた場合、代わりに蒔き直しが出来ることから、産地側は一定量の栽培面積を確保できると推測しております。

 

アメリカ産玄蕎麦

 

 2024年産アメリカ産玄蕎麦の播種前契約はほぼ終了しております。ここ数年世界的な穀物価格上昇により、アメリカ産の買い付け価格が高値傾向にありましたが、2024年産の契約価格は小麦の国際相場下落基調から低減しました。

2023年産が例年になく高値契約の為、国内産との価格差が縮まりアメリカ産の引合いが減少した事、並びにロシア産豊作による価格低下や蕎麦の輸出数量を確保したい産地側の意向から、契約価格が引下がっております。

 

モンゴル産玄蕎麦

  

 2024年産モンゴル産玄蕎麦は例年通り6月上旬に播種を開始、9月初旬から刈り倒し収穫を予定しております。昨年と同等な播種面積程度と推測されます。