市況

2025年5月下旬 国内外の蕎麦産地情報

 

 

国産玄蕎麦

 

 市場では米価高騰が叫ばれており、本年度産蕎麦の播種面積減少が心配されております。その様な中、播種面積把握には至っておりませんが、九州地方では春蕎麦、夏蕎麦が順調に生育しております。平年より2週間程早く梅雨入りとなりその影響について注視しております。
北関東、東北の夏蕎麦は早い所では5月上旬から播種作業が開始され、概ね順調に生育しています。このまま推移すれば7月中下旬頃には出荷の見通しとなります。
令和7年度北海道産玄蕎麦は、これから本格的に種蒔きが始まる予定です。

 尚、直接支払交付金(ゲタ対策)の補助金額は本年度迄、下記の通り同額です。

1等合格品 免税事業者向け45㎏/¥18,010-
課税事業者向け45㎏/¥17,180-
2等合格品 免税事業者向け45㎏/¥15,900-
課税事業者向け45㎏/¥15,070-

来年度は3年ごとの見直し対象の期間となります。

 

中国産玄蕎麦

 

 2025年度中国産玄蕎麦の主産地である内蒙古東部赤峰地区では、順調な天候に恵まれトウモロコシ、ヒマワリ、粟、きび等の作付け作業が始まっております。
内蒙古西部地区でも天候は順調であり、ヒマワリ、ナタネ、トウモロコシ等経済作物の播種が始まっております。
ユーリン地区は干ばつ気味でありますが麻の実や単価の高い苦蕎麦を優先し播種されると推測されております。
 2025年度蕎麦は6月上旬から7月上旬にかけて本格的な作付けが始まる見通しです。昨年度は安価なロシア産蕎麦が大量に輸入され、中国国内価格が下落した事から、農民は蕎麦よりも高収入となる経済作物を積極的に栽培したい意向です。米中貿易摩擦から大豆への補助金が厚くなった分、蕎麦の作付け意欲は減少傾向と報告されております。
このまま順調に降雨があると蕎麦の作付面積は減少する反面、干ばつ状態が続くようであれば、他の作物よりも生育日数の短い蕎麦を蒔き直す可能性もあるので今後の動向に注視しております。

 

ロシア産玄蕎麦

 

 2024年産ロシア産蕎麦は記録的な播種面積と収穫量だった2023年産よりは減少しておりますが、2年連続で豊作となりました。

※ 表は横にスクロールできます

  24年播種面積 23年播種面積 24年収穫量 23年収穫量
ロシア全体 1,103,800 ha 1,294,787 ha 1,202,240 t 1,475,247 t
アルタイ州 619,900 ha 726,667 ha 660,970 t 835,447 t

 ウクライナ戦争以降、行き場が少なくなった玄蕎麦に対し中国からの引き合いが高く、中国向け輸出量が2023年は 124,101t、2024年は221,700tと過去最高の輸出量となった。2025年1月~4月で約13.8万t 、4月は過去最高となる1ヵ月で約5.0万tが輸出されており、ロシアからの輸出量は昨年以上のペースで増えております。

 ロシア最大の蕎麦主産地アルタイ地方では例年通り2025年産は5月下旬頃から 播種作業が始まります。

 

アメリカ産玄蕎麦

 

 ここ数年世界的な穀物価格上昇により、アメリカ産玄蕎麦の買い付け価格が高値傾向にありました。2025年度は輸出数量を確保拡大するため、産地側はロシア産や中国産に対抗し、契約価格を引下げております。
 アメリカ産玄蕎麦の産地ワシントン州では例年通り7月上旬から8月上旬頃に播種を予定しております。