市況

2025年7月下旬 国内外の蕎麦産地情報

 

 

国産玄蕎麦

 

 九州地方の春蕎麦、夏蕎麦は例年より早い梅雨入りや収穫期の雨が影響し、出荷遅れと収量減になりました。

北関東は早い所では6月末から収穫作業が始まっており、順調に作業が進んでおります。東北の夏蕎麦は本格的に収穫作業が始まりますが、高温が続いた事により収量面が不安視されております。

 

 令和7年度北海道産蕎麦は、早い所では5月下旬から播種作業が始まりましたが、6月の継続的な雨の影響から播種遅れや、高温を避けるために播種時期を遅らせた地域等、例年に比べて播種作業の遅れが報告されております。6月下旬以降は30度を超える暑さが続いており、雨不足と高温障害等による生育不良が心配されております。今後の天候が収穫に大きく影響を与えるため状況を注視しております。

尚、播種面積は米の高騰から蕎麦畑から水田に戻した圃場もあり、昨年に比べ減少すると推測されます。

 

中国産玄蕎麦

 

 2025年度中国産蕎麦主産地である内蒙古東部赤峰地区では、天候にも恵まれ、大豆、トウモロコシ、ヒマワリ、粟、きび等の播種面積が増加しました。それにより蕎麦の作付面積は昨年よりも大幅な減少が推測されております。

 内蒙古西部地区でも天候は順調であり、ヒマワリ、ナタネ、トウモロコシ等の経済作物の播種面積が増え、東部同様に蕎麦面積は大幅な減少と推測されます。

 西北部は6月末まで干ばつで農作物の播種が出来ませんでしたが、その後の継続的な雨により蕎麦の播種作業が始まりました。時期的に蕎麦しか播種できない為、蕎麦面積は昨年より増加するのではないかと推測されます。

 

 昨年度は安価なロシア産蕎麦が大量に輸入され、中国国内価格が下落した事から、農民は蕎麦への播種意欲が低下しました。又、米中貿易摩擦から大豆、トウモロコシ等へ中国政府の補助金が増加し、春以降の好天から経済作物の播種が拡大され、中国全体の蕎麦面積は減少傾向と推測されます。

 

ロシア産玄蕎麦

 

 2024年産ロシア産蕎麦は記録的な播種面積と収穫量だった2023年産よりは減少しておりますが、2年連続で豊作となりました。

※ 表は横にスクロールできます

  24年播種面積 23年播種面積 24年収穫量 23年収穫量
ロシア全体 1,103,800 ha 1,294,787 ha 1,202,240 t 1,475,247 t
アルタイ州 619,900 ha 726,667 ha 660,970 t 835,447 t

 ウクライナ戦争以降、行き場が少なくなった玄蕎麦に対し中国からの引き合いが増加し、中国向け輸出量は2023年 124,101t、2024年221,700tと過去最高の輸出量となりました。2025年1月~6月は約18.3万t 、ロシアからの輸出量は昨年以上のペースで増加しております。

 

 ロシア最大の蕎麦主産地アルタイ地方では例年通り2025年産の播種作業が5月下旬頃から6月下旬頃にかけて行われました。

 2025年産については、ここ数年の豊作、過剰在庫による価格下落から農家の播種意欲が低下しており、農家は収益性の高い油糧種子(ナタネ・ヒマワリ等)栽培を優先する意向で、蕎麦の播種面積減少が予想されております。

 

アメリカ産玄蕎麦

 

 アメリカ産玄蕎麦の産地ワシントン州では例年通り7月上旬から8月上旬頃かけて播種作業が行われます。順調にいけば10月頃に収穫予定、11月下旬から12月上旬には国内搬入が予定されております。